LGBTってくくり、やめませんか Isn't concluding as LGBT changed?



この記事のざっくり

LGBTってくくり、変じゃね?



「セクシャルマイノリティ」じゃだめかな?

学校現場でもよく言われるんです。「LGBTに配慮しよう」って。校内にポスターも張ってありますしね。でも私はこの呼びかけを聞くたびにもやもやしてしまいます。「セクシャルマイノリティに配慮しよう」じゃだめなの?って。セクシャルマイノリティからLGBTを取り出すメリットが少ないように私には思えるのです。かえってLGBT以外のセクシャルマイノリティが差別されている印象を受けてしまいます。


(LGBTを含むすべての性的マイノリティや、その他すべての差別がなくなることを願うけど、とくにLGBTへの差別偏見はひどいし、実現可能なバリアフリーが多いということから)

LGBTに配慮しよう。

と言っているならいいのですが、

(興味ないけどなんか流行りだし、配慮してるって形を見せたいから)

LGBTに配慮しよう。

っていう人も当然いるでしょう。

そういう人にとって「LGBTに配慮しよう」という標語は、字面通りに「LGBTだけ」配慮すればよいと誤解されているのではないでしょうか。たとえばこういう人に、「私、アセクシャルなんだ」と告白したら、「それは変だよ、今度いい人紹介するよ?」とか言われそうだし、「私、ロリコンなんだ」と告白しようものなら、「うわキモ、変態じゃん」とか言われそうです。

もちろんこれは人間性の問題が大きいのですが、人間性はなかなか変えられないので、やっぱり標語を変えたほうがいいと思うのです。





適切なカテゴリってなんだろう

私は何も、「女性の権利を守ろう」と言っている人に対して、「男性の権利は守らなくていいのか!」というストローマン論法をふっかけようというのではありません。この場合、女性特有の権利侵害を解消することが目的なので、「人権を守ろう」ではなく、「女性の権利を守ろう」が適切なカテゴリだと言えます。

いっぽうで、「高知と香川と徳島の文化を守ろう」という標語があったら、これは愛媛が露骨に差別されている感を覚えますね。高知・香川・徳島にあって愛媛にない文化を守ろうという状況は、あまり考えられないからです。文化的共通点の多さから考えて、「四国の文化を守ろう」が適切でしょう。

同じように、「性的マイノリティに配慮しよう」と言えば、大多数のヘテロセクシャルに対する表現になり、合理性があります。
いっぽう、「LGBTに配慮しよう」という標語は、「レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーにあって、ヘテロセクシャル・インターセクシシャル・アセクシャル・パンセクシャル・ポリセクシャル・アンドロフィリア・ガイネフィリア・Xジェンダー・クエスチョニング……にはない部分に配慮しよう」という意味になりますが、それはまったく合理的ではありません。







そもそもなんでLGBTなん?

これはシンプルな理由で、性理解への啓蒙活動が開始された時期に、これら四つの認知度が高かったからです。
LGBTという言葉が生まれてから約三十年。その間に、LGBT以外の多くのセクシャルマイノリティが認知され、その権利を守る運動が続けられてきました。「LGBT」は性理解運動のシンボルでしたが、本質とのずれを修正する時期に来ているのではないでしょうか。





まとめ

近年日本でも急速にセクシャルマイノリティへの認識が改められてきています。その潮流において、LGBTというわかりやすい標語の存在は大きかったと言えるでしょう。しかし今、性の多様性への理解を広めるためには、より適切な表現が用いられるべきだと思います。

もちろん、表現よりも大事なのは一人一人の考え方です。今の社会の在り方で辛い思いをしている人がいないかどうか考えることが大切なのは言うまでもありませんね。





そのほかの名称

「LGBTQ」とか「LGBTI」って?

LGBTQの“Q”は、“Queer(変わった)”もしくは“Questioning(探している)”を表します。前者は「LGBTと変わった性的指向すべて」の意味で、セクシャルマイノリティとほぼ同義です。後者では、「LGBTと性自認・性的指向を探している、もしくは当てはめるのに不安を感じている人」という意味になります。さらにこれにアセクシャルの“A”を加えて“LGBTQA”とすることもありますが、そこまでやるなら「セクシャルマイノリティ」で良くね?と思うのですが……。

LGBTIの“I”は、“Intersexual(半陰陽)”ですが、これは肉体の状態を表す言葉です。LGBが性的指向によるカテゴリ、Tが性自認によるカテゴリ、Iが肉体の状態によるカテゴリなので、「それはひとつにまとめるべきなのか?」という印象です。


セクシャリティーズ

「セクシャリティーズ」は、ヘテロセクシャルも含めた性的指向すべてを表す言葉です。その多様性を意味する場合によく用いられます。文脈に応じて「セクシャリティーズ」と「セクシャルマイノリティ」を使い分けることは合理的だと思います。