今日飛び込んできたニュースが衝撃的すぎて、自分の気持ちを整理しきれないのですが、とにかくみなさんにお知らせしたくて筆を執ります。
教員の残業時間の上限を月45時間に
学校における働き方改革を進める中央教育審議会の特別部会は、2018年12月6日、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を公表しました。文部科学省
公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン
ネットニュース各社は、次のような見出しで報じています。
デジタル毎日 教員残業「月45時間上限」中教審部会が働き方改革素案
YAHOO ! ニュース 教員残業上限「月45時間」文科省が指針案公表
産経ニュース 教員の残業、月45時間以内に 働き方改革で指針案
@niftyニュース 教員残業上限「月45時間」文科省が指針案公表
読売オンライン 教員残業上限「月45時間」文科省が指針案公表
これらの見出しを見て、あなたはどのような気持ちになりますか。一般の方なら、「教員の長時間労働が問題になってるからねえ、よかったんじゃないの」と感じるかもしれません。でも、もしあなたが教員で、「毎月残業が多いから、これで少しは楽になるかも」なんて感じたとしたら、脳が奴隷すぎるので認識を改めてください。
そもそも教員の残業って?
前提として、教員に残業は存在しません。法律によって、教員には時間外の勤務を命じてはいけないことになっているからです。16時45分以降に教員が行っていることはすべて、「教員の自発的な意思に基づいた活動」であって、勤務ではないのです。ゆえにいくら働いても残業代は一円も支給されません。「仕事はいくらでも増やすけど、全部勤務時間内にやってね。時間外にやるのは君の自由行動だから、給料は払わないよ☆」
という夢のような理論に基づいて、この国の教育公務員は使役されています。
ここまでが基本の話です。
報道各社はわかりやすく(あるいは誤解して)、「残業」の語を用いていますが、今回のガイドラインにおいても「残業」の文字は見当たりません。まずはこの点を理解しましょう。
残業時間あらため「在校等時間」
残業でないとすればなんなのか。ガイドラインでは、定められた勤務時間以外の勤務時間を「在校等時間」と呼称しています。この「在校等時間」の上限を、月45時間、年360時間以内にするというのが、今回の方針です。
在校等時間
教員が業務を行うために在校している時間
加えて、学校外での研修と引率の時間
自らの判断による業務外の時間は除く
教員が業務を行うために在校している時間
加えて、学校外での研修と引率の時間
自らの判断による業務外の時間は除く
しかし、先ほども述べましたが、定められた時間以外の業務を教員に命じることは法律で禁じられています。法律で禁じられている時間の上限を決めるというのは、覚醒剤の摂取量の上限を定めるのと同じようなものです。いくらなんでもおかしいことがおわかりでしょう。
給特法の撤廃が最優先!
残念ながら、今回のガイドラインが教員の労働環境に対して有効に働く可能性は低いと言わざるを得ません。すでに「残業の上限はゼロ」という法律が盛大に無視されているのに、「残業の上限は45時間」としても意味がないのは火を見るよりも明らかです。教員の過重労働化が止まらない原因は、残業代の支給がないことに尽きます。「定額働かせ放題」の法律が無くならない限り、業務の削減はありえません。残業時間の上限を0時間にしようが200時間にしようが、仕事の量が増え続けているうちは、労働時間も増加するばかりです。
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