あなたの周りにうつ病に苦しんでいる人はいますか。
もしいるなら、あなたに気を付けてほしいことがあります。
うつ病の人に、アドバイスをしないでください。
内容が正しい、正しくないにかかわらずです。
大事なのは「タスクを外す」こと
うつ病の原因の多くは、タスクでがんじがらめになっている状態にあります。無理して我慢して、「あれもしなきゃ、これもやらなきゃ、絶対に、自分が……」と追いつめられた結果として、神経に異常をきたしていることが多いのです。
これをケアするには、抱えているタスクを全部とっぱらってやるのが一番です。簡単に言えば、何もしなくていい状態において休ませてやるのが最良です。もとい、何か一つでもやらなくてはいけない状態というのは、休息になっていませんね。
その前提にたって考えてみましょう。
アドバイスというのは、どうやっても本人のタスクを増やしてしまいます。
「朝は起きて規則正しい生活をおくってみなよ」
「引きこもっていないで外に出たほうがいいよ」
「三食きちんと食べたほうがいいよ」
……呪いか!
っていうか、できるならお前に言われなくてもとっくにやっています。こっちは働きたいし眠りたいし、飯も食いたいし外出したいんだよ!
よっっっっっぽど必要なことであれば、本人の気持ちに十分配慮したうえで言ってあげてもいいでしょう。でも基本的にはアドバイスしない。そう思っていていいと思います。
生兵法は説かない・聞かない
白血病の患者にあなたは何かアドバイスをしようと思うでしょうか。あるいはパーキンソン病やALSの人々に対して。思わないでしょう。とてもじゃないが素人が口出しする余地などないと感じるはずです。しかし不思議なことに、人は「うつ病」と聞くと、知識があるわけでもないのに、むらむらと口をはさみたくなるらしいのです。どうもそういう人たちは、うつ病を一時的な憂鬱と勘違いしているらしく、さかんに「もっとやる気出して頑張れよ!」とキャンペーンを行います。
もちろんこれは日照りに人身御供を捧げ、猫をレンジで温めるがごときアドバイスなので、そのような人とは一刻も早く距離を置くべきです。
励ましかたに気をつけて
よく「うつ病の人に『がんばれ』と言ってはいけない」という話を聞きます。聞きますが、なぜなのかはいまいちはっきりしませんよね。でも、これまでの話を読んだあなたならば、もうおわかりでしょう。そうです、「がんばれ」というメッセージは、患者に「がんばる」というタスクを課してしまうのです。うつ病の人は、「がんばれ」と言われると、「がんばらなくちゃいけないんだ」「がんばれない自分はだめなんだ」と、どんどん自分を追いつめてしまいます。うつ病の患者に接する際には、相手に行動を課す言葉を発しないように注意するべきです。
「元気出せよ」
「早く元気になってね」
「早く治して戻って来いよ」
など、一見善意のメッセージも非常に危険です。「早く治さなくちゃ」「早く戻らなくちゃ」「元気になれない自分はだめなんだ」……と症状を悪化させてしまいます。
もし声をかけるなら、
「良くなることを祈ってるよ」
「ゆっくり休んでね」
のように、相手に負担のない言葉を選ぶようにしましょう。